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ボーカルの話をしたい

音響担当と名乗っているので 歌の話をしよう。

私自身の歌声は商品になる声ではなく音楽の仕事も無いのだが、たまに人前で歌うことがある。

今回の話はミックスやシンセを扱ったことがある方向けとはなるが、
ポップスを歌う方へむけて、技術的な話を1つしたい。

下手に聞こえるのはサステインレベル0の歌声

発音されてすぐ減衰するような声の置き方を、クセでやってしまうことはないだろうか。

アタックの音は強いが、そのあとすぐ音量が下がるような歌い方は、下手に聞こえる。

たとえばピアノ、ギター、ハープのような、アタックと同時に音が0にむけて減衰する楽器があるが(=サステインレベルが0)
これらの楽器のような減衰する感じを、ボーカルでやってしまうと 下手に聞こえる。

音量(ダイナミクス)の不安定さが素人っぽいと言えばいいだろうか。

実際レコーディング後はそういう音量の大きいところと小さいところの差をコンプで平均化する。
音量のばらつきがあると、不快に感じる(下手に聞こえる)からだ。

上手に聞こえるのはサステインレベルが保たれた歌声

反対に、歌が上手く聞こえる声とは
木管金管、オルガン、ストリングスのような、減衰は多少あれど、伸ばしているときの音量がよわよわにならない声だ。

ピアノのような打鍵と同時に音量が完全に0へと減衰する楽器は「サステインレベルが0」と表現して差し支えないが、
ピアノと反対の「サステインレベルが70ぐらいの声」というのは
音量(ダイナミクス)のばらつく瞬間が少なくなり、安定感があるように聞こえ、「なんかプロっぽい」となる。

ボーカルは単音楽器で速弾きできないからこそサステインレベルが必要

ボーカルは同時にひとつの音しか鳴らせない単音楽器(モノフォニック)だ。

サックスなどサステインレベルが70以上はありそうな楽器(ここでは単音楽器としておく)は、ソロとして映えるということをボーカルの技術として盗むのである。

ちなみにピアノやギターなどのサステインレベル0の楽器がソロで成立するときは

・16分音符などある程度以上の速弾きをするから
・和音を演奏するから(ポリフォニックで演奏できる)

なのだが、これはボーカルには不可能な芸当だ。
逆にピアノが単音で、ボーカルの譜割りのような4分音符や8分音符の単音で演奏しても、全くソロとして映えない。

表現以前の問題

表現のなかで強弱をつけることは大事だが

サステインレベルが0の歌い方がクセになってしまい
ましてや1曲まるまるそういう歌い方をしてしまっていると
表現以前にクオリティが担保されない。

自力でできるようになろう

仮にレコーディングの時は音の強弱がありすぎても、どうにかなるかもしれない。
だが、リアルなパフォーマンスの時は、ミックスに頼れないので自力でサステインレベルが70ぐらいある声を出すしかない。

というわけで
自力コンプ もしくは 自力アンプエンベロープ を意識した歌い方を推奨したい。

具体的な方法は、意識するだけ

サステインレベルが70程度になるような歌い方とは、

はねるように歌うのではなく、べたべたと音を置いていく。

自分の放った声が 近くの壁にくっついてとれなくなるイメージで歌う。

まずは幼稚園児やドラえもんのように歌い、そのべたべたした感じを残した歌い方をする(特にロングローンで)。

商品になる歌声はサステインレベルが保たれている というお話でした。

心理学だけでなくボーカルや音楽とは何かといった話もしていきます。

音響担当でした〜!

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