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先生、講師、カウンセラーなど「教える側」の人間からいちばん大きな利を得る方法がある。

生徒が先生を楽しませてしまうことだ。
教えていて楽しい生徒になるのだ。

楽しませるとは、もちろんゴマすりのことではない。
「この人を教えるの、なんかおもしろいな」
と先生のほうがテンション上がってしまう生徒になる、という意味だ。

いろいろな習い事をしている中で、私は先生から暴露話をされることが多い。
「正直教えてて楽しくなかったから、力を抜いた生徒がいる」と裏話を漏らされたことがある。

これはその先生がおかしいのではなく
教え甲斐がないと感じる生徒だったため、楽しくない仕事になってしまっていたようだ。

先生にも好き嫌いはある。
「お金を頂いているのだから先生は全員に全力で教えるべき」などというコンプラが厳密にあるわけでもないなら、いくら騒いだところで、現実にはこうなってしまうのだ。

教えるのが楽しくなる生徒になったほうが、結局得をする。
特に「お金払ったんだから優遇されるべき」と思ってしまう人は危険だ。
先生を楽しませるにはどうしたらいいか、というアイデアを採用するところから始めて欲しい。

本題に移ろう。

先生を楽しませる生徒は、毎回ネタをもってくる。

・やってみたいこと
・前回習ったことを試した結果、出てきた疑問点
・自作の仮説をもってきて、ここで検証する
・ケース別マニュアル作成の依頼
・トラブルシューティング系

このように、生徒側がもってきたネタをもとに、共同開発のような空気になると、先生を楽しませることができる。

先ほどとは対照的に、「次はどうしたらいいですか」と、先生にネタ提供を求める生徒がいる。
それの何がいけないの?と厳しすぎるように感じるかもしれない。今回の話は、全体像が見えてない段階の人には当てはまらない話だということは申し添えておく。

「この先生についていこう!」と思うのは何一つ罪なことではない。
しかし、敏感かつ素直にならないと気付けないことがあるのだ。

それは
「この人の講座を受けて解決しよう」
「次なにすればいいか、常に聞いていって、向上しよう」
と思っていないだろうか。いや、思い過ぎていないだろうか。

厄介なことに、向上心があるようにみせかけて、「教えてもらおう」が強いことに気づけていない人がいる。
極まった言い方をすれば、他責だ。

先生が生徒に教えるという構図は普通であり、「次の課題を教えてください」という質問は禁忌の質問ではない。
ただ、いつも定期的にこの手の質問を連発しているのであれば危ない。
「私の次の課題はこれだと思う」という自分なりの仮説を持っていることが大事だ。
自分の課題は自分で探す程度の主体性がなければ、伸びない。

意識高い系の人のスタンスが実は他責だということはよくある。
ただ、他責をゼロにするのは不可能だ。
であれば、自分の他責にアンテナを貼り、意思をもつことだ。
伸び悩んでいる人は、ここをクリアできているかチェックしてもいいかもしれない。

不調な日に「すみません今日コンディション悪くてー」と言い訳の雑談をする人がいる。これで終わらせれば何の発展性もない。
そうではなく、コンディションが悪いことすらも、メインディッシュにするのだ。

「今日はやる気が出ない」
「睡眠不足でとてもじゃないけど声が出ない」
「こんな日に少しでもできることはないか?」
「不調な日に先生はどうするか?」
「ボロボロの日でも最低限のパフォーマンスをするには?」

不調ややる気のなさを隠そうとせず、「今日はここからどこまで持っていけるか」という企画にすることで、先生の中でスイッチが入る。
「あ、この人はできない自分すら材料にして学ぼうとしているな」と分かるからだ。

というよりも、コンディションとの付き合い方まで学べれば、単純に伸びる。

指示待ちの生徒は、既存カリキュラムを舐めさせられて終わる。
「ここまで理解できたら世界がガラッと変わるのに」といった裏メニューは出してもらえない。

裏メニューの出させ方は自分からネタ出し、リクエストをしまくることだ。

リクエスト対応するために裏メニューを出さざるを得なくなる。
そしてこれを続けていけばだんだんフェーズが変わってくる。

そのうち、先生から「こういうのもあるんだけど」と裏メニューを出してもらえるようになる。

ここで出てくる裏メニューとは、単なる追加課題だけではない。
それは、
 先生自身の哲学
 これまで読んできた本の話
 昔の失敗談や、そこからどう抜けたかという苦労話
なども含まれる。

そして、それを聞いて終わりにせず、
さらに「自分の今の状況に当てはめてみる」「実験してみる」といった形で学びに変える生徒が、いちばん得をしていくのだ。

「どうしたらいいですか」という質問をすると
「あなたが好きにしたらいいんじゃないかな?」というざっくりな返答をされるところを見たことがあるだろう。
しかしこれは回答者が悪いのではなく、「どうしたらいいですか」という質問そのものが、主体性が感じられず、抽象的だからだ。

抽象的な質問をすれば、抽象的な答えが返ってくる。

「どうしたらいいですか」系の質問にはコツがある。それは
「私はこれを重視してます、なのでどうしたらいいですか」というように、そのニーズの意思と理由を断言するのがコツだ。

「正直ここに時間をかけたくないので、脳死でこれ選んどけ!というのがあれば教えてください」
「品質を担保し統一感を崩さないために型をつくりたい。テンプレの構成アイデアはありますか」
「母数が必要なので、万人受けを取りに行きたい。外さない選択をください」
「ここはこだわりがないので、最低ラインを教えてください」

質問内容を、抽象から具体にするだけで、返ってくる答えが具体的になるだろう。

もちろん、ここまでの話は習い事や講座のような、ある程度フラット・フランクな関係を前提にしている。

職場やピリついた競争の場面、いわゆる「戦場」では適応できないことが多いので、その場の温度感や空気をよく観察したうえで、やるかやらないか、どこまでやるかを自分で調整してほしい。

お金を払ったから特権が得られるのではない。

先生に「ただこなした」60分を過ごさせるのか、
先生に「今日はいいレッスンができた」と思ってもらえる60分に自分がしていくのか。

「一緒にいて楽しい人」になるのが上手い人、モテる人と言ってもいい。
そんな人が一番おいしいところを持っていく。

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